新約聖書入門
笠原義久

ずいぶん前に買って、一度読み始めたもののすぐに投げ出してしまった本。あれから僕も聖書についてあれこれ勉強をして、この本もすらすら読めるようになりました。新約聖書の成り立ちや各文書の特徴について、簡潔にまとめた本。しゃべり言葉のような文体で、全体を25講に分けてあるのも読んでいて区切りがつけやすい。ブルトマンから始まる現代聖書学のおおまかな流れを、最新の事例や著者自身の批判的意見も交えながら紹介している。議論百出の聖書学について、見事に交通整理してくれるという点では使い勝手のいい本だと思うが、ひとつの項目は分量が少ないので、あらかじめ他の本で聖書学全般について知っておいた方がいい。もちろん新約聖書も、一度は通読しておくことも前提になる。聖書を読んだこともなく、教会に通ったこともない人が、手軽に手を出せる本ではないと思う。(9/16)